夜間頻尿でお悩みの方へ
薬局で一番多いご相談「夜間頻尿」とは?
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夜中に何度もトイレで目が覚めてしまい、朝になっても体が重い…。
薬局でもっとも多いご相談のひとつが、この「夜間頻尿(やかんひんにょう)」です。
「年だから仕方ないのかな」「水を控えれば良くなるのでは?」
そんな不安を抱えたまま、誰にも言えずつらい思いをしている方が本当に多くいらっしゃいます。
いわゆる「夜中にトイレで何度も起きてしまう」「夜間頻尿がつらい」というご相談を、日々たくさんお受けしています。
まず知っておいていただきたいのは、夜間頻尿にはいくつかの誤解があるということです。
ここでは、薬局に寄せられるご相談をもとに、夜間頻尿の「よくある誤解」と「今日からできる対策」についてお話しします。
夜間頻尿のよくある誤解
- 誤解 水分を控えれば良くなるわけではありません
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1つめは、「夜間頻尿は水分を控えれば良くなる」わけではないということです。
日中に水分を極端に控えすぎると、体は「これ以上水を失ってはいけない」と判断し、水分をため込むように働きます。すると夕方以降に足がむくみやすくなり、夜に横になると、その余分な水分が腎臓へ戻って尿としてまとめて出てしまいます。
その結果として、夜間のトイレの回数が増え、「夜間頻尿」が悪化してしまうことがあります。「水分を減らす=夜間頻尿の改善」と単純に考えてしまうのは、実は逆効果になりかねません。
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- 誤解 膀胱だけの問題ではなく、自律神経や睡眠とも関係します
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2つめは、「夜間頻尿=膀胱だけの問題」ではないということです。
ストレスが強かったり、寝る前までスマホを見ていたりすると、体が“休むモード”に入りきらず、自律神経が乱れ、膀胱が敏感になります。その結果、実際の尿量は少ないのに「トイレに行きたい」と感じてしまい、夜中に何度も目が覚めることがあります。
つまり、夜間頻尿の背景には、
- ストレス
- スマホやパソコンなどの光刺激
- 生活リズムの乱れ
といった、自律神経や睡眠の状態も大きく関わっているのです。
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- 誤解 薬の影響で夜に尿が出やすくなっている場合もあります
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3つめは、薬の影響で夜に尿が出やすく感じる場合があるということです。
血圧や心臓、糖尿病のお薬の中には、尿の作られ方に関わるものもあります。特に利尿剤は、飲んでから数時間後に効果が最大になるため、飲む時間によっては夜に尿が増えてしまう方もいます。
ただし、薬を自己判断で中止するのは危険です。気になる場合は、薬の種類や飲むタイミングを調整することで改善することが多いので、必ず医師や薬剤師に相談してください。夜間頻尿の原因が「薬の影響」にある場合、飲み方の工夫だけで夜間のトイレ回数が減るケースもあります。
生活習慣と夜間頻尿
甘いもの・冷たい飲み物・油っぽい食事も影響します
さらに、夜間頻尿には生活の影響も大きく関わっています。
甘いもの・冷たい飲み物・油っぽい食事など(いわゆる「4毒」)は、体を冷やしたり、自律神経を乱して症状を強める方も少なくありません。「食べ物」は軽く見られがちですが、実際には体の状態や夜間頻尿の出方を左右する大きな要素です。
- 冷たい麦茶やジュースをたくさん飲む
- 夜遅い時間の甘いお菓子
- 脂っこい夕食
こうした習慣が重なると、夜間頻尿が悪化しやすい土台ができてしまいます。
夜間頻尿が改善した実際のご相談例
先日も70代の女性が相談に来られました。
「夜に2〜3回起きてしまって、朝がつらいんです」とのこと。
お話をゆっくり伺うと、
- 夕飯時に冷たい麦茶を何杯も飲む習慣がある
- 寝る前までスマホで動画を見ている
という生活リズムがありました。
そこで、まず
- 夕方以降の水分の摂り方
- 寝る前のスマホ
この2つを調整していただきました。
すると、2週間ほどで夜間のトイレ回数が半分以下に減り、夜間頻尿の症状が大きく改善。
「朝が楽になりました」と笑顔で報告してくださり、私も胸が温かくなりました。
このように、夜間頻尿は生活習慣の見直しだけでも変化が出ることが多い症状です。
今日からできる夜間頻尿対策
自分で取り入れやすい3つのポイント
では、今日からできる簡単な夜間頻尿のセルフケア対策を3つご紹介します。
- 寝る90分前に温かい飲み物を1杯だけ
- 冷たいものは体を冷やし、夜間尿を増やします。寝る前は、温かい麦茶や白湯などをコップ1杯だけにしてみましょう。
- 寝る前のスマホをやめる(布団に入ったら見ない)
- スマホの光は自律神経を乱し、膀胱の過敏さを強めることがあります。布団に入ったらスマホを見ないようにするだけでも、眠りの質が上がり、夜間頻尿が落ち着いてくる方が多いです。
- 足首を冷やさない
- 夜間頻尿の半分以上は“冷え”が影響していると言われることもあります。靴下やレッグウォーマーで足首を冷やさないようにするだけでも、トイレの回数が減ったと感じる方が少なくありません。
「年だから」とあきらめないで
夜間頻尿は生活の見直しと相談で改善を目指せます
夜間頻尿は「年だから」とあきらめる必要はありません。生活のリズムと体のサインを少し整えるだけで、驚くほど変化が出る方が多い症状です。
ここでご紹介した夜間頻尿対策はあくまで一般的なものです。持病やお薬の状況によって合わない場合もありますので、気になる方は一度、医師や薬剤師に相談してみてください。
しんどい夜が続いている方は、ひとりで悩まず、いつでも気軽にご相談ください。
あなたの夜が、もう少し静かで心地よいものになりますように。

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