こんにちは、薬剤師の安田ひろふみです。
今回は少し視点を変えて、健康の根本に関わる「味覚のリセット」についてお話ししたいと思います。
というのも、最近「何を食べてもおいしく感じない」「素材の味が分からなくなった」というご相談が増えてきたからです。
味覚は、私たちが生まれながらに持っている“命を守るセンサー”のひとつです。
私たちの体には、必要なものを「おいしい」と感じ、体に害があるものを「まずい」「苦い」と感じて避ける力が備わっています。
ところが現代の食生活には、この味覚のセンサーが鈍ってしまう原因が多く潜んでいます。
その大きな要因のひとつが、「四毒(4毒)」と呼ばれる現代の食生活で過剰摂取されがちな食品群です。
「四毒」で味覚が鈍る?小麦粉・砂糖・添加物の影響とは
小麦粉・植物油・乳製品・甘いもの——
この「四毒」とされる食品を日常的に摂り続けていると、舌が本来備えている味を感じ取る力が麻痺してしまいます。
とくに人工甘味料や液体砂糖などの加工甘味料に触れていると、「甘さ」の感覚が狂い、果物のやさしい甘みや、野菜の自然なうま味を感じ取れなくなってしまうのです。
この変化は、単に味覚の問題にとどまりません。
実は、消化吸収の機能や内臓の働き、自律神経のバランスにまで影響を及ぼします。
「味を感じる力」は五感の中でも特に繊細で、体と心を整える起点にもなっているのです。
味覚をリセットすると、体と心が整いはじめる
味覚の感度が戻ると、以下のような変化を感じる方が多くいらっしゃいます:
- 甘いものが“くどくて重たい”と感じるようになる
- シンプルな素材の料理でも「おいしい」と思える
- 食事の量が自然と減ってくる
- イライラや落ち込みが減り、気持ちが穏やかになる
つまり、味覚のリセットとは、体と心の再起動でもあるのです。
今日から始める!味覚を取り戻す3つの方法
ここでは、今すぐ実践できる「味覚リセット術」を3つご紹介します。
- 出汁のある生活を取り戻す
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まずは、味噌汁・お吸い物・煮物など、出汁文化を見直してみましょう。
化学調味料を使わず、昆布や鰹節から丁寧にとった出汁は、鈍っていた舌をやさしく目覚めさせてくれます。
日本人の体と心には、昔ながらの和食が本当に合っていると感じています。
- 苦味・渋味・酸味に触れる
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甘さと脂に偏った現代の味覚バランスを整えるには、本来の苦味・渋味・酸味をしっかり取り入れることが効果的です。
たとえば、春菊・ゴーヤ・柚子・梅干しなど。これらの刺激が「味を感じる力」を呼び戻します。
最初は「ちょっとクセがあるな」と感じても、体が整ってくるにつれ“自然においしく”感じられるようになります。
- 不要な添加物を減らし、自然の恵みを足す
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味覚をゆがめる最大の敵は「人工的な加工食品」。その一方で、自然の中には“味覚を目覚めさせる力”がたくさん眠っています。
たとえばスピルリナ。
苦味・うま味・ミネラルがぎゅっと詰まった天然素材で、私も味覚のリセット期におすすめしているひとつです。
「最初はクセがあるけれど、だんだんおいしく感じるようになった」そんな声をよくいただきますが、これはまさに“舌が目覚めた証拠”だと思います。
味覚リセットは薬に頼らない体づくりの第一歩
味覚とは「体の声」そのもの。
何を「おいしい」と感じるかには、その人の体調や心の状態までもが映し出されます。
舌が本来の力を取り戻せば、自然と体が整い、薬に頼らない生き方へと近づいていきます。
「なんとなく不調」を感じている方は、まずは「味覚」を見直してみてください。
焦らず、コツコツと“本来の味覚”を取り戻していくことが、自分を整える第一歩になります。
それは、自然と向き合い、自分を大切にする時間でもあります。
薬を減らしたいと考えているすべての方に、味覚リセットはやさしく寄り添ってくれるはずです。
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