こんにちは!
前回のブログでは「乳製品の体への影響」についてお話ししました。今回は、私たちが日常的に口にする「砂糖」が体にどのような影響を与えるのかを、薬剤師の視点からわかりやすく解説します。
血糖値の急変動が体に与えるダメージ
「甘いものは太るから良くない」と言われがちですが、実はそれ以上に注意すべきなのが血糖値の急上昇と急降下(=血糖値スパイク)です。この現象は、体に大きなストレスを与え、エネルギーのコントロール機能を乱す原因になります。
砂糖は鍋(体)に焦げつくベタベタのシロップ
砂糖の影響を鍋で例えるなら、加熱しすぎて焦げつくベタベタのシロップのようなもの。
一度こびりつくと簡単には落ちず、鍋の表面を傷めます。実は、これと似たことが体内でも起きているのです。
鍋にこびりついた砂糖がなかなか取れないように、体内でも砂糖の過剰摂取は負担となり、血糖調整機能を傷つけます。
砂糖が体に入ると血糖値が急上昇し、それを抑えるためにインスリンが大量に分泌されます。これが繰り返されると、次第に体がうまくエネルギーを調整できなくなり、インスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」の状態へ。
そして血糖値の乱高下が起こることで、だるさ、眠気、強い空腹感などの不調が現れ、やがて糖尿病のリスクが高まっていきます。
血糖値スパイクとインスリンの働き
- 甘いものを食べると血糖値が急上昇
- 砂糖が体内に入ると、血液中の糖分(血糖)が急激に増えます。
- これは鍋に大量の砂糖水を流し込むようなもの。
- インスリンが大量に分泌される
- 血糖値を下げるために、すい臓からインスリンが大量に分泌されます。
- しかし、この仕組みは自然界ではめったに起こらない異常な現象です。
- 血糖値が急降下し、低血糖状態に
- インスリンの働きで血糖値が急激に下がると、今度はエネルギー不足に。
- その結果、「甘いものを食べた後に眠くなる」「すぐにお腹がすく」という現象が起こります。
昔の食事では血糖値スパイクは起きなかった?
昔の日本の食事では、白砂糖の使用は少なく、甘酒や発酵食品、果物など自然な甘味が中心でした。食物繊維を多く含む野菜や海藻、大豆食品が主食と組み合わされており、血糖値の急上昇を防ぐ工夫が自然と組み込まれていたのです。
- 伝統食が血糖値を安定させる理由
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- ご飯・味噌汁・発酵食品・魚の組み合わせは、血糖値の急上昇を防ぐバランスが取れていた。
- 食物繊維を多く含む野菜・海藻・大豆食品が主食とともに摂取されていた。
- 現代のパン・パスタ・ジュース中心の食事とは異なり、血糖値が安定しやすかった。
しかし現代では、パンやパスタ、清涼飲料水といった加工食品が中心になり、砂糖や液糖(果糖ブドウ糖液糖)を含む食品を知らず知らずのうちに大量に摂取しています。その結果、血糖値スパイクが日常的に起きやすくなっているのです。
糖尿病患者の増加と社会的背景
厚生労働省や国際糖尿病連合のデータによると、1997年には約690万人であった日本の糖尿病患者数は年々増加しており、2022年時点で約1,050万人。予備群を含めると2,000万人を超え、国民の約6人に1人が該当します。
世界全体でも、2021年には5.37億人(成人の約10.5%)が糖尿病と診断され、2045年には7億人を超えると予測されています。背景には、食生活の欧米化とともに、加工食品に含まれる糖度の上昇や、果糖ブドウ糖液糖などの使用が増えていることが挙げられます。
実際、日本における砂糖の年間消費量は1970年の30kgから2020年には16kgと減少していますが、同時に食品中の糖度は20%以上も増加。つまり、私たちは「砂糖を減らしたつもり」でいても、実際には加工食品を通じて無意識に糖分を多く摂っているのです。
甘いものを上手に楽しむ3つのポイント
では、甘いものを完全に断たなければならないのでしょうか?実はそんなことはありません。大切なのは血糖値スパイクを防ぎつつ、上手に甘味と付き合う方法を知ることです。
- 自然な甘味を活用
- 砂糖よりも、はちみつ・甘酒・黒糖などの伝統的な自然由来の甘味料を使うことで、体への負担を軽減できます。
- 食物繊維を先に摂る
- 野菜やナッツ、海藻類などを先に食べることで、糖の吸収が緩やかになり、血糖値の急上昇を抑えることができます。
- タイミングに気をつける
- 空腹時に甘いものを食べるのではなく、食後のデザートとして摂ることで血糖値の安定に繋がります。
次回予告:砂糖よりも怖い?液糖・人工甘味料の落とし穴
砂糖が血糖値に与える影響についてお話ししましたが、実はそれ以上に注意すべきなのが「果糖ブドウ糖液糖」や「人工甘味料」です。
次回は、これらが体にどのような影響を与えるのかを、さらに詳しくご紹介します。お楽しみに!
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